レッドツェッペリンⅡは、ハードロックの原点とも称される伝説的アルバムです。
ジミー・ペイジのギターリフとジョン・ボーナムのドラムが融合した本作は、音楽史に残る革新をもたらしました。
今回は、レッドツェッペリンⅡの音楽的特徴、代表曲、そして現代に与えた影響を徹底レビューします。
この記事を読むとわかること
- 『レッド・ツェッペリンⅡ』全曲の音楽的特徴と背景
- メンバー別視点で見る演奏と役割の違い
- アナログ盤とCDリマスター盤の音質比較と聴き方のコツ

『レッド・ツェッペリンⅡ』全収録曲レビュー
1969年にリリースされた『レッド・ツェッペリンⅡ』は、バンドの方向性を決定づけたアルバムとして知られています。
ブルースとハードロックの融合、ダイナミックな演奏、革新的なプロダクションによって、今日でもその影響は色褪せません。
ここでは全9曲それぞれについて、音楽的特徴や背景を交えながら詳細にレビューしていきます。
1. Whole Lotta Love(胸いっぱいの愛を)
この曲の象徴的なギターリフは、ジミー・ペイジの代表作の一つとして語り継がれています。
ブルース・ナンバー「You Need Love」(マディ・ウォーターズ)をベースにしながらも、レッド・ツェッペリン独自のサイケデリックかつ攻撃的なアレンジが加えられ、まったく新しいロックの形へと昇華されました。アメリカでは最初のヒット・シングルとなり(最高4位)、セールスは100万枚を突破しました
中間部の音響実験的なブレイクは、当時としては革新的で、プロデューサーとしてのペイジのセンスが光ります。
2. What Is and What Should Never Be(強き二人の愛)
ロバート・プラントの詩的なリリックと、曲中で繰り返される静と動のコントラストが印象的な1曲。
アルペジオによる静かな導入から、サビでは急激にハードな展開へと転じ、リスナーに鮮烈な印象を与えます。
ペイジのステレオパンニングギター効果もまた、当時の最先端の技術を活かした試みとして評価されています。
3. The Lemon Song(レモン・ソング)
ブルース色が最も濃い1曲。
ハウリン・ウルフやロバート・ジョンソンの影響を色濃く反映しながらも、即興性のある演奏でまったく新しい命を吹き込んでいます。
ジョン・ポール・ジョーンズのベースプレイがここでは特に輝いており、曲全体をグルーヴィに牽引しています。
4. Thank You(サンキュー)
ロバート・プラントが妻マウリーンに捧げたとされるバンド初の純粋なラブソング。
オルガンの重なりが荘厳な雰囲気を作り出しており、レッド・ツェッペリンの中でも異色の存在感を放つバラードです。
ペイジのアコースティックギターとジョーンズのキーボードワークが、繊細な美しさを引き立てています。
5. Heartbreaker(ハートブレイカー)
ヘヴィメタルの原型のようなギターリフで始まるこの曲は、多くのギタリストに影響を与えてきました。
中間の無伴奏ギターソロはライブでのアドリブを思わせる大胆な構成で、ロックギターの自由さを体現しています。
ボーナムのドラムとペイジの掛け合いも聴きどころです。
6. Living Loving Maid (She’s Just a Woman)(リヴィング・ラヴィング・メイド)
前曲「Heartbreaker」と無音なしで続く構成は、アルバムならではの魅力のひとつ。
キャッチーで軽快なリズムながら、歌詞には女性への皮肉が込められており、プラントのユーモアも垣間見えます。シングル「胸いっぱいの愛を」のB面に収録、ビルボードのシングルチャートで65位にまで上昇しました。
バンドとしてはあまり好んでいなかったとも言われていますが、ポップさと攻撃性を兼ね備えたユニークな楽曲です。
7. Ramble On(ランブル・オン)
J・R・R・トールキンの『指輪物語』にインスパイアされた歌詞で知られ、ファンタジックな世界観が魅力の1曲。
アコースティックギターとエレクトリックの切り替えが巧妙で、静かな語りから一転して強烈なロックパートへ。
この構成はのちの「Stairway to Heaven」にも受け継がれていきます。
8. Moby Dick(モビー・ディック)
ジョン・ボーナムのドラムソロが主役となるインストゥルメンタル。
ペイジとジョーンズのイントロが終わると、延々と続くドラムソロが展開され、ボーナムの圧倒的なフィジカルとテクニックを堪能できます。
ライブでは30分以上に及ぶこともあったという伝説的なパフォーマンスの礎ともなった1曲です。
9. Bring It On Home(ブリング・イット・オン・ホーム)
ソニー・ボーイ・ウィリアムソンIIの原曲を引用しながらも、独自のアレンジで力強いロックナンバーへと進化。
プラントのハーモニカと低い語りが導入部を演出し、突然バンド全体がなだれ込むように爆発する展開は痛快です。
ブルースからロックへの橋渡しを象徴するかのような曲構成は、アルバムを締めくくるにふさわしい衝撃と高揚感をもたらします。
まとめ:『Led Zeppelin II』の全体像と影響
全体として本作は、単なるブルース・ロックの再演ではなく、
録音技術・演奏・構成力において革新をもたらした歴史的作品です。
それぞれの楽曲がバンドの4人の才能を存分に引き出し、後のハードロック、ヘヴィメタル、そしてプログレッシブ・ロックへとつながる道筋を示しました。
各メンバー視点で見る『レッド・ツェッペリンⅡ』の魅力
『レッド・ツェッペリンⅡ』は、バンドとしての一体感が高まる中、それぞれのメンバーが個の才能を爆発させたアルバムです。
ここでは、ジミー・ペイジ、ロバート・プラント、ジョン・ポール・ジョーンズ、ジョン・ボーナムの4人に焦点を当てて解説していきます。
それぞれの視点から聴くことで、このアルバムがより立体的に見えてくるはずです。
ジミー・ペイジ(ギター/プロデューサー)視点レビュー
このアルバムでのジミー・ペイジの最大の功績は「プロデュース能力」です。
短期間で世界ツアー中に断片的に録音された素材を巧みに編集し、ひとつの作品として完成させた手腕は驚異的です。
「Whole Lotta Love」ではテープエコー、フェイザー、逆回転など、スタジオ技術を駆使した音響効果が実験的に使われ、時代を先取りするサウンドを実現しました。
ギタリストとしても、「Heartbreaker」での無伴奏ソロや、「Ramble On」でのアコースティックとエレキの融合が印象的です。
ロバート・プラント(ボーカル/作詞)視点レビュー
このアルバムでは、プラントが作詞家として本格的に参加するようになり、詩的・神秘的な世界観を築き上げています。
「What Is and What Should Never Be」や「Ramble On」などでは、日常と幻想の世界を織り交ぜたリリックが特徴で、彼の文学的センスが光ります。
また、ボーカリストとしての成長も著しく、「Thank You」の柔らかい表現と、「Bring It On Home」での荒々しさの振れ幅の大きさが、彼の表現力の広さを物語っています。
ブルース的なシャウトから繊細なウィスパーボイスまで、あらゆる感情を歌声に乗せたパフォーマンスがアルバムに命を吹き込んでいます。
ジョン・ポール・ジョーンズ(ベース/キーボード)視点レビュー
本作でのジョーンズの活躍は、バンドの「隠れた要」としての存在感を確固たるものにしました。
特に「The Lemon Song」でのベースラインは即興的でありながら曲を完全にリードしており、彼の音楽理論への深い理解が垣間見えます。
「Thank You」ではメロトロンやハモンドオルガンを使い、バンドのサウンドスケープに多層的な深みを与えています。
ペイジの派手なギターに対して、調和と構造を支えるアレンジャー的な役割を果たしており、彼がいなければこのアルバムのバランスは保たれていなかったと言っても過言ではありません。
ジョン・ボーナム(ドラムス)視点レビュー
ジョン・ボーナムのドラミングは本作で完全に解き放たれたと言えるでしょう。
特に「Moby Dick」でのドラムソロは、パワー、スピード、タイム感すべてにおいて圧倒的で、彼のライブパフォーマンスの定番となっていきます。
「Whole Lotta Love」のブレイク部分では、空間の使い方やフィルインの間の取り方など、音楽的なセンスが冴え渡っています。
ボーナムの特徴的なプレイスタイルは「重くてタイト」、それでいてグルーヴィ。彼の存在がバンドの「地鳴り」を支えていたことは疑いようがありません。
4人の才能が融合した瞬間
『レッド・ツェッペリンⅡ』は、4人のプレイヤーがそれぞれの役割を全うしながらも、全体としてシームレスに結びついた奇跡的なアルバムです。
バンドとしての一体感と、個人の突出した才能が同時に記録された稀有な作品であり、
各メンバーの視点から聴き返すことで、より深い理解と感動を得られるでしょう。
『レッド・ツェッペリンⅡ』制作背景・使用機材・リマスター盤の違い
『レッド・ツェッペリンⅡ』は、1969年というロックの進化期に生まれたアルバムです。
制作から現代に至るまでのリマスター盤の違いまで、音の進化と背景を探っていきましょう。
ロック史に残る名盤の裏側には、苛烈な制作状況と最先端の音作りが存在していました。
1. 制作背景:ツアーと録音を同時進行した怒涛のレコーディング
『レッド・ツェッペリンⅡ』の録音は、1969年春から夏にかけて、アメリカとイギリスの複数のスタジオを移動しながら行われました。
当時バンドは怒涛のワールドツアーの真っ最中で、限られたオフの時間にスタジオ入りして断片的にレコーディングするというスタイルでした。
録音場所には以下のスタジオが含まれます:
- オリンピック・スタジオ(ロンドン)
- S & R スタジオ(ニューヨーク)
- A & R レコーディング(ニューヨーク)
- ミラヴァル・スタジオ(パリ)など
このようなバラバラの環境で録音された音源を、ジミー・ペイジがロンドンで集中的に編集・ミックスし、一貫したサウンドにまとめ上げたことがアルバムの完成度を高めた大きな要因です。
2. 使用機材:革新的なサウンドを生んだテクノロジーとアイデア
本作では、ジミー・ペイジがサウンド・エンジニアと共に多くの録音技術を実験的に導入しました。
その中でも特に注目すべきは以下の機材や手法です:
- エディ・クレイマーのエンジニアリング:ステレオ・パンニングやリバース・エコーを大胆に使用
- テレキャスター&レスポール:曲によってギターを使い分け、リフに重厚感を持たせる
- サンダーランド・アンプとエコープレックス:ギターサウンドに厚みと飛びを加える
- ジョーンズのメロトロン/ハモンドオルガン:「Thank You」などでシンフォニックな質感を演出
- ジョン・ボーナムのキット:Ludwig社のドラムとPaisteのシンバルが轟くような音を生み出す
特に「Whole Lotta Love」でのサイケデリックな中間ブレイクの加工は、テープカットと物理的な操作を駆使した職人芸とも言える制作技術の結晶です。
3. リマスター盤との違い:オリジナルの荒々しさ vs. 現代的クリアさ
『レッド・ツェッペリンⅡ』は2014年にジミー・ペイジ自身の監修によりデジタル・リマスター盤として再発売されました。
このリマスター盤では、以下のような点で音質が大幅に向上しています:
- 低音の解像度が向上し、ボーナムのキックドラムがより明瞭に聴こえる
- ギターの分離感が増し、ステレオイメージが広がった印象
- 高域のノイズ除去により、ボーカルがより前に出るように調整
- 未発表テイクやラフミックスを収録したボーナスディスクの追加
ただし、リスナーの中には「オリジナルの荒々しさが薄まった」と感じる人もおり、好みが分かれる部分でもあります。
アナログ特有の「音の空気感」を好むファンは、初回プレスのLP盤をあえて探し出すことも少なくありません。
まとめ:時代を越えて響く「音作り」へのこだわり
『レッド・ツェッペリンⅡ』の成功の裏には、妥協なき制作哲学と大胆な実験精神がありました。
録音環境の制限を逆手にとったアイデアと、当時の技術の限界に挑戦した音作りが、50年以上経った今でも色褪せない理由です。
そしてリマスターによって新たな世代へと受け継がれた本作は、まさにロックのDNAを体現する作品と言えるでしょう。
『レッド・ツェッペリンⅡ』アナログ盤 vs CD音質比較
同じアルバムでも、フォーマットによって聴こえ方は大きく変わります。
特に『レッド・ツェッペリンⅡ』のような録音技術とミックスの妙で魅せる作品では、その違いが顕著に現れます。
ここではアナログLP盤とCD盤(主に2014年リマスター)を比較し、それぞれの特徴を詳しく紹介します。
1. アナログ盤の特徴:温かみと空気感のある音
アナログ盤は、波形を物理的にレコードに刻んで再生する方式のため、「原音の質感」を自然に伝える傾向があります。
『レッド・ツェッペリンⅡ』のアナログ盤では特に以下の点が際立ちます:
- 中低音の厚みと温かさ:「Whole Lotta Love」のベースやドラムの迫力が自然に響く
- アナログ特有の倍音成分:ギターやハイハットに柔らかい質感が加わる
- 盤面のコンディションや針によって音質が微妙に変化し、「聴くたびに少し違う味わい」を楽しめる
また、1969年当時の初回プレス盤(通称「RLカット」)は音圧が非常に高く、コレクターの間では「最強のツェッペリン音源」と称されるほどです。
2. CDリマスター盤の特徴:クリアさとダイナミックレンジの広さ
一方で、CD(特に2014年のジミー・ペイジ監修リマスター盤)は、デジタルならではの解像度と安定性が特徴です。
以下のような点で優れたリスニング体験を提供してくれます:
- 音の分離感:「Heartbreaker」などの複雑なアンサンブルが各パートごとに鮮明に聴こえる
- ノイズレスな再生:レコード特有のプチプチ音や歪みがなく、静かなパートでもクリア
- 左右のステレオ定位がより正確:「What Is and What Should Never Be」などでのパンニング効果がシャープに伝わる
- ラフミックスや未発表バージョンを収録したディスクがあるのも魅力
ただし、ファンの間では「やや冷たく感じる」「オリジナルの荒削りな勢いが薄れた」との声も見られます。
3. リスナーの目的に応じた選び方
どちらの音源にも良さがあり、選び方はリスナーの好みや環境によって変わってきます。
| アナログ盤がおすすめな人 | CD盤がおすすめな人 |
| ヴィンテージな音の雰囲気を重視 | ノイズレスで安定した再生を好む |
| 中低音の厚み・温かみを求める | 細かな音まで正確に聴きたい |
| オリジナルのダイナミクスを体感したい | モバイルやデジタル環境で手軽に聴きたい |
まとめ:どちらも「本物のツェッペリン体験」
アナログとCD、どちらにも一長一短がありますが、『レッド・ツェッペリンⅡ』という作品の本質は変わりません。
アナログで時代の空気とともに楽しむも良し、CDで洗練された音像を堪能するも良し。
どちらのメディアでも、ツェッペリンの放ったロックの衝撃と創造性は今なお鮮やかに響き渡ります。
この記事のまとめ
- 『レッド・ツェッペリンⅡ』全9曲を詳細にレビュー
- ジミー・ペイジらメンバー4人の視点から解説
- 過酷なツアー中に制作された背景に迫る
- 使用機材や録音技術の革新性を紹介
- 2014年リマスター盤との音質比較も掲載
- アナログ盤ならではの音の温かみを解説
- CD盤のクリアで現代的な音像との違い
- フォーマットごとの魅力を丁寧に分析

