「レッドツェッペリンⅢ」は、伝説のロックバンド・レッドツェッペリンの3作目にあたるアルバムです。
前2作のハードロック路線から一転し、アコースティックやフォーク色の強い風変わりな構成が話題を呼びました。
本記事では、「レッドツェッペリンⅢ」の真価に迫りながら、なぜこの作品が“風変わりな名作”と称されるのか、その音楽的革新性と評価の変遷を解き明かします。</
この記事を読むとわかること
- レッド・ツェッペリンⅢが“風変わり”と呼ばれる理由
- 全10曲の特徴と音楽的背景の詳細な解説
- 作品が再評価されるまでの歴史とその意義

なぜ「レッドツェッペリンⅢ」は風変わりな名作とされるのか?
レッドツェッペリンの3枚目のアルバム『レッドツェッペリンⅢ』は、ファンや批評家の間で今もなお賛否が分かれる作品です。
それまでのヘヴィでブルージーなサウンドを期待していたリスナーにとって、本作の路線変更は驚きであり、同時にロック史における革新的な実験として捉えられています。
ここでは、なぜこの作品が“風変わり”とされつつも“名作”と評価されるのか、その理由を掘り下げていきます。
アコースティック中心の構成が与えたインパクト
『レッドツェッペリンⅢ』最大の特徴は、それまでの重厚なロックサウンドから大きく離れ、アコースティック主体の楽曲構成へと舵を切った点です。
ジミー・ペイジとロバート・プラントがウェールズのブロン・イ・アーの山荘で作曲活動に没頭したことにより、フォークやケルト音楽、ブルースに強く影響された作品群が生まれました。
これは単なるジャンルの変更ではなく、ロックの枠を広げる挑戦であり、当時の音楽界に新風を巻き起こしたのです。
ファンの賛否両論を呼んだリリース当時の反応
1970年にリリースされた当時、多くのファンは前作までのスタイルを期待していたため、突然の方向転換に戸惑いを見せました。
特に『Immigrant Song』のようなハードな楽曲もある中で、後半に収録された『That’s the Way』や『Tangerine』のような繊細なナンバーに対しては、「静かすぎる」「退屈」といった声も上がりました。
しかし現在では、多様性と深みのあるアルバム構成が高く評価され、バンドの音楽的成熟を示す作品として再評価されています。
『レッド・ツェッペリン III』全収録曲とその解説
1970年にリリースされたこのアルバムは、ハードロックとアコースティックサウンドが共存する、ツェッペリンの中でも特に異色な作品です。
以下に、オリジナル版の収録曲10曲とその特徴・背景を簡潔にまとめました。
リスナーの予想を裏切りつつも、バンドの音楽的幅広さを証明した1枚です。
| 1. Immigrant Song | 北欧神話に触発されたリリックと、象徴的な咆哮が印象的なハードロック・ナンバー。 |
| 2. Friends | 弦楽器の独特な響きが神秘性を高める。電気を使わず録音されたフォーク調の曲。 |
| 3. Celebration Day | 都会の混沌とエネルギーを感じさせる曲調で、緻密なリズムアンサンブルが特徴。 |
| 4. Since I’ve Been Loving You | ブルースの真髄を感じる名演で、ライブでも人気の高い1曲。 |
| 5. Out on the Tiles | ボーナムのドラミングが主導する、ワイルドで力強いロックナンバー。 |
| 6. Gallows Pole | ヨーロッパ伝承曲をアレンジしたフォーク・ブルース。スリリングな展開が光る。 |
| 7. Tangerine | 哀愁漂うラブソング。ペイジがヤードバーズ時代に書いた未発表曲の改作。 |
| 8. That’s the Way | アルバムの中でも最も繊細で叙情的な1曲。ナチュラルなアコースティックサウンドが魅力。 |
| 9. Bron-Y-Aur Stomp | ウェールズの山荘「ブロン・イ・アー」での生活を描いた、軽快なカントリースタイルの楽曲。 |
| 10. Hats Off to (Roy) Harper | ブルース・スタイルの実験的トラック。タイトルは同時代の英国シンガーソングライターに敬意を表したもの。 |
フォークとブルースの融合が示す音楽的挑戦
『レッド・ツェッペリン III』は、単なるスタイルの転換にとどまらず、フォークとブルースの融合による音楽的実験が施された作品です。
これは、当時のロックシーンでは異例ともいえるアプローチであり、バンドの革新性を象徴するものでもあります。
特にアコースティック楽器の大胆な導入と、トラディショナルな素材の再解釈は、今なお多くのアーティストに影響を与えています。
「ブロン・イ・アー」の静謐な世界観
アルバム後半に登場する『Bron-Y-Aur Stomp』は、自然の中での生活からインスピレーションを得た楽曲です。
ブロン・イ・アーとは、ウェールズにある山荘の名前で、ロバート・プラントとジミー・ペイジが滞在した場所でもあります。
この曲では、軽快なリズムとアコースティックギターの響きが、田舎ののどかな風景をそのまま音にしたような印象を与えます。
ジミー・ペイジのプロデューサーとしての手腕
フォークやブルースの融合を可能にしたのは、ジミー・ペイジの音響設計能力の賜物です。
特に『Gallows Pole』では、静かに始まるアコースティックギターとボーカルが、途中から一気にテンポアップしてパーカッションと弦が加わり、曲の展開にドラマ性を持たせています。
また、ペイジは録音においても独自のマイク技法やミキシングを駆使し、各楽器の質感や空気感を絶妙にコントロールしていました。
ブルースに根ざしたアプローチの進化
『Since I’ve Been Loving You』は、ブルースの原型を保ちながらも非常にエモーショナルな表現が特徴的です。
ジョン・ポール・ジョーンズのオルガンとジミー・ペイジの泣きのギターが絡み合い、ロバート・プラントの哀切を帯びたボーカルが聴く者の心を打ちます。
このような演奏力と構成美は、単なるジャンルの模倣ではなく、彼ら独自の“新しいブルース”のかたちを築いたと言えるでしょう。
再評価される“ロックの多様性”の象徴
リリース当時、フォーク色の強い『レッド・ツェッペリン III』は一部のファンや批評家から戸惑いと批判を受けました。
しかし、時代の経過とともに再評価され、今ではレッド・ツェッペリンが単なるハードロックバンドではないことを証明する作品として、高い評価を得ています。
ここではその再評価の流れと、音楽的影響について見ていきます。
90年代以降に高まる音楽的再評価の声
1980年代以降、MTV文化やグランジ/オルタナティヴの潮流の中で、“ロックの再文脈化”が進んだことで、『III』のような内省的・アコースティックな作品に注目が集まりました。
1990年代に入ると、アコースティックやトラッド志向を取り入れたバンドが現れたことで、本作の先進性が再認識されるようになります。
また、再発CDやデラックスエディションのリリースも、作品の再評価に拍車をかけました。
アーティストに与えた影響と引用の多さ
『Tangerine』や『That’s the Way』などの穏やかなアコースティック曲は、90年代のオルタナ系アーティストに大きな影響を与えました。
例えば、ニルヴァーナのアンプラグド・ライブや、レディオヘッドの初期作品には、『III』に通じる静と動の構造が見られます。
また、アコースティックとエレクトリックの融合を目指す音楽家たちにとって、本作は今もひとつの指標となっています。
多様性こそがレッド・ツェッペリンの本質
『III』は、単なる「変化球の作品」ではありません。
それは、ロックという表現形式の中に、多様性と知性を内包できるという可能性を、先取り的に示した一作です。
このアルバムがあるからこそ、レッド・ツェッペリンは「ハードロックの始祖」であると同時に、ジャンルを超えた“音の探求者”としての顔も持つ存在として記憶されているのです。
レッドツェッペリンⅢの真価とその意味をまとめて
『レッド・ツェッペリン III』は、ロック史における分岐点とも言える作品です。
その真価は、単なる音楽的スタイルの変化ではなく、バンドの内面から生まれた“創造の自由”の証明であったと言えるでしょう。
ここでは、そんな本作が持つ最終的な意義と、現代における価値を総括します。
「ロックの常識を覆した」一枚としての位置づけ
当時のロック界では、商業的成功を背景にした「ヘヴィでラウドな音」が主流でした。
しかし本作は、その流れに抗い、アコースティックやトラディショナルな音楽への回帰という選択をしました。
これは、レッド・ツェッペリンが単なる流行のロックバンドではなく、音楽芸術の創造者であることを証明する試みでした。
聴き直してこそわかる“実験作”の本質
『III』は、リスナーに熟考を促すアルバムです。
表面的には地味に思える曲も多いかもしれませんが、その一音一音に込められた感情と風景は、聴けば聴くほど味わいを深めます。
特に、静謐さと情熱が交錯する『That’s the Way』や、スリリングな展開の『Gallows Pole』などは、ロックに“語り”と“物語性”を持ち込んだ先駆的楽曲として再注目されています。
音楽の“幅”を教えてくれる作品
『レッド・ツェッペリン III』は、ハードロックだけでは表現しきれない、音楽の多面性と可能性を私たちに教えてくれます。
彼らがこの作品で見せた試みは、後の音楽家たちにとっても大きな道しるべとなり、「自分たちの音を信じて進むこと」の重要性を伝えています。
この“風変わりな名作”は、今なお新たな聴き手に発見と驚きを与え続けているのです。
この記事のまとめ
- レッド・ツェッペリンⅢはアコースティック主体の異色作
- 全10曲に込められたフォークとブルースの挑戦
- 初期批判から一転、再評価された名盤
- 「Gallows Pole」や「That’s the Way」に見る新たな表現
- 多様な音楽性が後進バンドへ与えた影響

