『愛のペガサス』(原題:Prince)は、1979年に発表されたプリンスの2作目のスタジオ・アルバムであり、彼の音楽キャリアを語るうえで欠かせない重要作品です。
全編を通して、プリンス自身がすべての楽器とボーカルを担当。ファンク、ソウル、ポップ、ロックが融合した独自の音楽性が色濃く表れています。
この記事では、『愛のペガサス』に収録された代表的な楽曲やアルバムの魅力、さらには当時の音楽シーンとの関わりについて詳しく紹介します。
この記事を読むとわかること
- プリンス『愛のペガサス』全収録曲の特徴と魅力
- アルバム制作背景とプリンスのセルフプロデュース力
- 作品が与えた音楽的影響と現在の再評価ポイント

『愛のペガサス』の収録曲と解説
『愛のペガサス』は、1979年にリリースされたプリンスのセカンドアルバムで、彼の音楽的アイデンティティがより明確に現れた作品です。
全編を通じてプリンス本人がすべての楽器演奏とボーカルを担当しており、その多才さを強く印象づける内容となっています。
本作に収録された楽曲には、のちのヒット曲の原型や、彼独自のサウンドが色濃く表れており、ファン必聴の一枚です。
ウォナ・ビー・ユア・ラヴァー(I Wanna Be Your Lover)
このアルバム最大のヒット曲であり、プリンスの名が広く知られるきっかけとなった一曲です。
軽快なリズムとキャッチーなメロディ、そして彼の得意とするファルセットボイスが全編にわたって響きます。
この曲はプリンス初のミュージック・ビデオ作品にもなり、視覚的にも彼の世界観が示されました。
つれない仕打ち(Why You Wanna Treat Me So Bad?)
ソウルフルなバラードに見せかけて、実はギター主体のロックナンバーという意外性が魅力です。
ステージではプリンスがギターソロを披露することも多く、その演奏力の高さが再評価される楽曲でもあります。
歌詞には、恋人への複雑な感情が織り込まれ、プリンスの繊細な内面が垣間見えます。
セクシー・ダンサー(Sexy Dancer)
タイトル通り、ダンサブルでセクシーな楽曲。
ファンクを基調にしたリズムと、最小限のボーカルが交差するこの曲は、プリンスのミニマル美学を感じさせます。
クラブシーンでも愛され続ける隠れた名曲です。
バンビ(Bambi)
ハードロック寄りのサウンドで、初期プリンスの中でも異色の存在。
歌詞では、レズビアンの女性に恋をした男性の苦悩が描かれ、挑戦的なテーマ設定が話題となりました。
プリンスのギターが最も情熱的に炸裂する一曲でもあります。
アイ・フィール・フォー・ユー(I Feel for You)
後にチャカ・カーンがカバーしてグラミー賞を受賞したことでも有名な曲。
プリンス版はより繊細でメロウな雰囲気をまとっており、聴く者の心にしっとりと染み渡ります。
この曲には、ソングライターとしての彼の手腕が凝縮されており、後世に多大な影響を与えました。
『愛のペガサス』の収録曲と解説
『愛のペガサス』(原題:Prince)は、1979年10月19日にリリースされたプリンスの2枚目のスタジオ・アルバムです。
本作は彼の音楽的才能を如実に示す作品であり、全ての楽器演奏とボーカルをプリンス自身が担当したことで知られています。
全9曲からなる本作は、ファンク、ロック、ソウルなどジャンルの垣根を越えた表現に満ちており、彼の原点とも言えるアルバムです。
1. I Wanna Be Your Lover(ウォナ・ビー・ユア・ラヴァー)
全米シングルチャート11位を記録した代表曲で、キャッチーなメロディとファルセットが特徴です。
プリンスのブレイクのきっかけともなり、ミュージックビデオも制作されました。
2. Why You Wanna Treat Me So Bad?(つれない仕打ち)
ファンクとロックの融合が感じられる楽曲で、特にエレキギターのリフが印象的です。
ライブでの演奏では、ギタリストとしてのプリンスの技術が強く印象づけられます。
3. Sexy Dancer(セクシー・ダンサー)
ダンスフロア向けのファンクチューンで、セクシャルな要素が全面に出ています。
ヨーロッパではシングルカットされ、クラブシーンでも人気を博しました。
4. When We’re Dancing Close and Slow(愛のふれあい)
アルバム中で最もスローテンポなラブバラードで、深く情熱的な歌声が響きます。
感情のこもったボーカルとシンプルなアレンジが心に残る楽曲です。
5. With You(ウィズ・ユー)
甘く優しいメロディが印象的なポップ・バラード。
恋人への一途な想いを歌ったナンバーで、繊細な歌詞が若年層を中心に支持されました。
6. Bambi(バンビ)
アルバムの中でも異彩を放つハードロック調の攻撃的な楽曲。
女性に恋をした男性の切ない叫びを、歪んだギターとともに表現しています。
7. Still Waiting(ステイル・ウェイティング)
ピアノを中心に据えたミディアムテンポのソウルバラードで、孤独や期待といった内面的な感情が綴られています。
控えめながらも美しい一曲で、アルバムの中の静的な瞬間を彩ります。
8. I Feel for You(アイ・フィール・フォー・ユー)
チャカ・カーンのカバーで有名になった楽曲のオリジナルバージョン。
この楽曲でプリンスはグラミー賞ソングライター賞を受賞しており、後年における名声の礎ともなりました。
9. It’s Gonna Be Lonely(孤独な夜)
アルバムを締めくくる、感情豊かでメロウなバラード。
孤独と向き合う夜の静寂を描き出し、余韻を残すエンディングとなっています。
アルバム制作の背景と音楽的特徴
『愛のペガサス』は、1978年のデビューアルバム『フォー・ユー』で注目を集めたプリンスが、さらなる飛躍を目指して取り組んだ意欲作です。
当時21歳という若さで、全楽器演奏・全曲作詞作曲・全ボーカルを自ら手がけた点は、業界でも驚きをもって迎えられました。
このセルフプロデュースによって、彼の音楽的個性と多様なジャンルセンスが存分に発揮された作品となっています。
アルバム全体に共通するのは、ファンクをベースにしながらもロックやポップ、ソウル、R&Bを自在に横断するジャンルミックスのアプローチです。
「I Wanna Be Your Lover」や「Sexy Dancer」などのファンキーなトラックと、「Bambi」のようなハードロック調の楽曲が共存しており、一貫したテーマよりも多様性の表現が重視されています。
それでいて、アルバムとしてのまとまりが感じられるのは、プリンスの演奏と構成力によるところが大きいでしょう。
また本作では、愛・欲望・孤独・承認欲求といったテーマが繊細かつ大胆に描かれています。
特にファルセットを活かしたボーカル表現と、リズムへの細やかなこだわりは、後の名作群への布石となる重要な要素です。
このアルバムは“天才プリンス”のスタートラインであり、彼の音楽的探求の原点とも言える一作なのです。
リリース当時の評価と商業的成功
1979年にリリースされた『愛のペガサス』は、前作『フォー・ユー』に比べて商業的にも批評的にも大きな進展を見せたアルバムです。
特にシングル「I Wanna Be Your Lover」が全米ビルボード・ホット100で11位、R&Bチャートで1位を記録したことで、プリンスの名は一躍全国区になりました。
このヒットにより、プリンスはR&Bだけでなく、ポップ市場にもクロスオーバーな存在としての地位を確立し始めます。
アルバム自体も、ビルボード200で最高22位、R&Bアルバムチャートでは3位を記録。
リリースから時間をかけて売り上げを伸ばし、最終的にはアメリカレコード協会(RIAA)からプラチナディスクに認定されました。
これはプリンスにとって初のプラチナ作品であり、その後のキャリアを大きく後押しする結果となりました。
また、評論家たちの間でも本作は高く評価され、「音楽的才能の解放」「ポップとファンクの完璧な融合」などと称賛されました。
一方で、若干21歳の若者が一人でこれだけの作品を完成させたことに対し、“天才”という言葉が使われ始めたのもこの時期です。
『愛のペガサス』は、プリンスにとって“未来のアイコン”としての第一歩であり、同時にファンと業界からの期待を一身に集めることになったアルバムだったのです。
『愛のペガサス』が与えた影響と現在の評価
『愛のペガサス』は、単なる成功作にとどまらず、プリンスというアーティストの音楽的指針を定めた転機的作品として、その後のキャリアに大きな影響を与えました。
このアルバムで見せたジャンルを横断する姿勢や、セルフプロデュースへのこだわりは、のちの『1999』や『パープル・レイン』といった歴史的名作にも受け継がれています。
特に「Bambi」のようなロック色の強い曲は、彼のライブで長く愛される定番曲となり、ジャンルにとらわれない音楽家としての評価を確固たるものにしました。
また、音楽業界全体にも大きなインパクトを残しました。
「I Wanna Be Your Lover」などの楽曲は、80年代以降のR&Bやポップスの制作手法に大きく影響を与え、一人のアーティストが全てを手がけるセルフメイドスタイルの先駆けとも評されています。
多くの現代アーティストがプリンスを“ロールモデル”と呼ぶ中、その出発点とも言える本作の意義は非常に大きいと言えるでしょう。
現在においても『愛のペガサス』は、再評価が進む作品の一つです。
リマスター版やデジタル配信によって新たなリスナー層に届くことで、世代を超えて支持され続けるアルバムとなっています。
本作は、プリンスの才能の原石を感じることができる貴重な記録であり、その魅力はこれからも色褪せることはないでしょう。
『愛のペガサス』が与えた影響と現在の評価
『愛のペガサス』は、単なる成功作にとどまらず、プリンスというアーティストの音楽的指針を定めた転機的作品として、その後のキャリアに大きな影響を与えました。
このアルバムで見せたジャンルを横断する姿勢や、セルフプロデュースへのこだわりは、のちの『1999』や『パープル・レイン』といった歴史的名作にも受け継がれています。
特に「Bambi」のようなロック色の強い曲は、彼のライブで長く愛される定番曲となり、ジャンルにとらわれない音楽家としての評価を確固たるものにしました。
また、音楽業界全体にも大きなインパクトを残しました。
「I Wanna Be Your Lover」などの楽曲は、80年代以降のR&Bやポップスの制作手法に大きく影響を与え、一人のアーティストが全てを手がけるセルフメイドスタイルの先駆けとも評されています。
それまでの音楽業界では、複数の作曲家・アレンジャー・プロデューサーが関与するのが主流でしたが、プリンスはこれを覆し、“ひとりで完結できるアーティスト”という新たな価値観を提示しました。
この手法は、のちのマルチアーティストやDTM(デスクトップ・ミュージック)時代の到来を先取りしていたとも言えます。
実際、現代においてもビリー・アイリッシュやチャイルディッシュ・ガンビーノのような自己完結型のアーティストたちが台頭しており、その流れのルーツをたどると、プリンスの姿が浮かび上がってくるのです。
また、「セクシャリティと音楽の融合」という観点でも『愛のペガサス』は先駆的でした。
プリンスはこのアルバムにおいて、ジェンダーや性愛をテーマにした歌詞を含みながらも、それを押しつけがましくなく、耽美的かつ芸術的に昇華しました。
これは、後年の「Darling Nikki」や「Erotic City」にも繋がる彼の表現哲学の萌芽であり、彼の作品に宿る魅力のひとつとなっています。
当時はまだ“セクシャリティ”をテーマに音楽を作ること自体がタブー視されていた時代背景の中で、プリンスは限界を押し広げた存在だったのです。
一方で、リリース当時は賛否両論もありました。
その多様なジャンル性や音楽性が逆に「方向性が定まっていない」という批評を受けることもあり、ラジオ向けの曲以外は評価されにくい傾向もありました。
しかし時代が進むにつれて、その音楽的冒険と革新性が再評価され、アルバム全体が持つ完成度の高さや先進性が明らかになっていきます。
近年では、音楽評論家や研究者によって『愛のペガサス』は、“過小評価されていた名作”と位置づけられ、再評価が進んでいます。
特に、ストリーミングサービスの普及により、アルバム全体を通して聴くことが当たり前になった今だからこそ、この作品のトータルコンセプトや物語性が改めて注目されています。
また、若いリスナー層の間でも、「バンビ」や「With You」などがSNSやプレイリスト経由で発見され、“エモくて新しい”と受け入れられているのも興味深い動きです。
『愛のペガサス』は、商業的成功だけでなく、音楽文化における革新性と、アーティストとしての自立を象徴する歴史的作品です。
今なお新しい発見を与えてくれるこのアルバムは、まさに“プリンスの原点”にして“未来を示した作品”だと言えるでしょう。
まとめ:『愛のペガサス』はプリンスの原点であり未来
『愛のペガサス』は、1979年という時代にありながら、プリンスが一人でアルバムの全工程を手がけたという、極めて革新的な作品です。
その中には、ファンク、ロック、ソウル、バラードなど、多彩な音楽的要素が凝縮されており、プリンスの音楽的ルーツと未来への布石が色濃く描かれています。
「I Wanna Be Your Lover」の商業的成功を皮切りに、アルバムはプラチナディスクを獲得し、彼のアーティストとしての地位を確立しました。
また、歌詞や構成に表れる性愛・孤独・自我の探求は、当時としては挑戦的なテーマでしたが、彼はそれをアートとして昇華させました。
結果としてこの作品は、単なるセカンドアルバムではなく、「プリンスとは何者か?」という問いに最初に明確な答えを与えた作品として評価されるに至っています。
時代を超えて愛される『愛のペガサス』は、いま改めて聴き直す価値のある名盤です。
これからプリンスの音楽に触れる人にとっても、最初の一枚としておすすめできるアルバムであり、その音楽的な奥深さと情熱は、きっとあなたの心にも残ることでしょう。
この記事のまとめ
- プリンスが全てを手がけたセカンドアルバム
- 収録曲はファンクからロックまで多彩
- I Wanna Be Your Loverが全米ヒット
- プラチナ認定で商業的成功を収める
- セルフメイド型アーティストの先駆け
- 性愛や孤独など挑戦的なテーマも
- 近年は再評価が進む“隠れた名盤”

