1973年にリリースされたイーグルスのセカンド・アルバム『ならず者』。アメリカ西部のアウトローたちをテーマにしたコンセプト・アルバムとして、今もなお多くの音楽ファンに愛され続けています。
本記事では、『ならず者』がどのような作品なのか、楽曲やアルバム構成、制作背景を交えながら詳しく紹介していきます。
カントリーロックの枠を超えた芸術性や、バンドの進化を象徴する一枚としての魅力も解説していますので、ぜひ最後までご覧ください。
- イーグルスの名盤『ならず者』のコンセプトと物語性
- 全収録曲の特徴と聴きどころを詳しく解説!
- 制作背景や後世に与えた影響までまるわかり

『ならず者』はどんなアルバム?そのコンセプトと物語性に注目
イーグルスのセカンド・アルバム『ならず者(Desperado)』は、1973年にリリースされたコンセプト・アルバムです。
アメリカ西部の開拓時代に実在した「ならず者(アウトロー)」たちをテーマに、イーグルス自身が「ドゥーリン=ドルトン・ギャング」として物語の主人公を演じる形で構成されています。
アルバムは11曲から成り、曲順や歌詞の内容が物語性を持ってつながっており、まるで一本の映画を観ているかのような没入感を提供してくれます。
特に注目すべきは、イーグルスの方向性を大きく変えた転換点となったアルバムである点です。
この作品からグレン・フライとドン・ヘンリーによるソングライティングの黄金コンビが本格的に始動し、「テキーラ・サンライズ」や「ならず者」などの名曲が生まれました。
その後のイーグルスの音楽性にも大きな影響を与えたこのチームは、バンドのアイデンティティを築く上で欠かせない存在となりました。
ストーリーテリングと音楽性の融合が評価される本作は、カントリーロックとロックを巧みに織り交ぜたサウンドと、時代背景を感じさせる詞世界でリスナーを惹きつけます。
シングルカットはされなかった「ならず者」が後に多くのアーティストにカバーされ、バンドを象徴する一曲となっている点も、本作の影響力の強さを物語っています。
単なるアルバムではなく、「聴く物語」として、今も多くのリスナーに深く愛され続けている名盤です。
収録曲から見るアルバムの魅力
『ならず者』は、全11曲で構成されており、それぞれがひとつの物語の章のように展開されていきます。
収録曲一つひとつに意味が込められており、アルバムを通して聴くことで初めてその真価が見えてくる構成になっています。
ここでは全曲を紹介しつつ、その魅力をひも解いていきます。
代表曲「テキーラ・サンライズ」や「ならず者」の聴きどころ
- ドゥーリン・ドルトン(Doolin-Dalton)
アルバムの幕開けを飾る1曲。強盗団の生活と孤独、自由への希求を描き、アルバムの世界観を決定づけます。
- テキーラ・サンライズ(Tequila Sunrise)
イーグルスの代表的バラード。甘くも切ない旋律が印象的で、恋愛と逃避を交錯させた歌詞がリスナーの心に残ります。
- ならず者(Desperado)
アルバムのタイトル曲にして、イーグルスの代名詞的存在。ドン・ヘンリーのボーカルが美しく響き、孤独な魂の叫びを描いた名曲です。
隠れた名曲たちとその意味
- 21才(Twenty-One)
カントリー色の強い軽快なナンバー。若さと無鉄砲さを描いた短い曲で、アウトローたちの若き日を象徴しています。
- アウト・オブ・コントロール(Out of Control)
荒々しさを感じさせるロックナンバー。バンドのエネルギーが全面に出た楽曲で、物語の中盤を盛り上げます。
- その種の愚か者(Certain Kind of Fool)
人生をギャンブルのように生きる男の物語を描いた曲。人生の選択と代償というテーマが込められています。
- ドゥーリン・ドルトン(インストゥルメンタル)
アルバム中盤のインスト曲で、ギャングたちの運命の暗転を予感させる哀愁の旋律が印象的です。
- アウトロー・マン(Outlaw Man)
アルバムからシングルカットされたロック曲。法に背きながらも自由を求める姿を描いています。
- サタデイ・ナイト(Saturday Night)
繊細で静かな楽曲。アウトローの心の奥にある哀しみを垣間見ることができます。
- ビター・クリーク(Bitter Creek)
バーニー・レドンがボーカルを務める、神秘的な空気をまとった一曲。自己との葛藤や運命に対する諦観がにじみ出ています。
- ドゥーリン・ドルトン/ならず者(リプライズ)
冒頭とタイトル曲の再構成。アルバムの幕引きとして、物語の終焉と余韻を美しく締めくくります。
こうして全体を見渡すと、アルバム『ならず者』は単なる楽曲の集まりではなく、緻密に設計された音楽叙事詩であることがわかります。
個々の曲も魅力的ですが、ぜひアルバム全体を通して聴くことで、その深い世界観に浸っていただきたいと思います。
制作背景とレコーディング秘話
『ならず者』の完成には、名プロデューサー、グリン・ジョンズの存在が欠かせません。
そして、イーグルスにとっては初めての海外レコーディングであるロンドン録音という新たな挑戦も、このアルバムに大きな影響を与えました。
制作の裏側を知ることで、楽曲の奥深さがよりいっそう感じられるはずです。
グリン・ジョンズによるプロデュースワーク
グリン・ジョンズは、ザ・ローリング・ストーンズやレッド・ツェッペリンなど数々の名アーティストを手掛けてきたベテラン。
彼のプロデュースは、イーグルスのサウンドに「統一感」と「洗練」をもたらしたと評価されています。
とくに今作では、「あまり費用をかけず短期間で仕上げる」方針があったため、各曲の録音にはわずか4〜5テイクしか与えられなかったといいます。
そのため演奏には荒削りさが残る場面もありますが、生々しい臨場感がアルバム全体の空気感を強く支えています。
グリンはストリングスの導入や楽器編成にも積極的に関与し、カントリーロックという枠を超えたアレンジを施しました。
ロンドンでの録音とその影響
『ならず者』はロンドンのアイランド・スタジオで録音されました。
アメリカ西部の物語を、イギリスの空気の中で録音したという対比は、非常にユニークです。
この距離感が逆に、イーグルスにとって「アメリカ的な自分たち」を再発見する機会となったとも言われています。
またロンドン録音という異国の環境で、バンドメンバー間の結束力が深まり、音楽に込めるストーリーテリングの意識が一層強くなったとされています。
環境が変わることで内省的な創作が進み、内面の葛藤や孤独が浮き彫りになったことも、アルバムの深みにつながったのかもしれません。
こうした制作背景を知れば、『ならず者』が単なるスタジオアルバムではなく、アートとして完成された作品であることがより明確になります。
『ならず者』アルバムが与えた影響と評価
『ならず者』はリリース当初こそ大きな商業的成功を収めたわけではありませんが、後に評価が急上昇し、イーグルスのキャリアを語るうえで欠かせない作品となりました。
このアルバムは彼らの音楽性、そしてロック界全体に大きな影響を与えた転機でもありました。
リスナーにとっても、アーティストにとっても「物語として聴く音楽」の魅力を再認識させてくれた作品です。
イーグルスの音楽性を変えた重要な一作
『ならず者』以前のイーグルスは、西海岸の爽やかなサウンドを基調とするカントリーロック・バンドとして認知されていました。
しかしこのアルバムを境に、より内省的かつ深みのある音楽性を取り入れるようになり、バンドとしての表現の幅を大きく広げました。
とくにドン・ヘンリーとグレン・フライの作詞作曲コンビの台頭が、以降のイーグルス作品における“核”となっていきます。
このアルバムがなければ、「呪われた夜」や「ホテル・カリフォルニア」といった名作も生まれなかったかもしれません。
カバーやメディアでの使用など、後世への影響
『ならず者』収録のタイトル曲「Desperado」は、リンダ・ロンシュタットやカーペンターズ、ジョニー・キャッシュなど名だたるアーティストにカバーされました。
また映画・ドラマなどでも頻繁に使用され、「失われた自由」や「孤独」を象徴する楽曲として認知されています。
日本ではテレビドラマ『華麗なる一族』や映画『十三人の刺客』など、意外な作品にも使用されており、ジャンルや国境を超えて愛されるスタンダード・ナンバーとなっています。
さらに2020年代に入っても、新たなアーティストがカバーを続けており、その存在感は衰えるどころかますます増している印象です。
イーグルスにとっても音楽シーン全体にとっても、『ならず者』は“転換点”であり、“原点回帰”でもある、特別なアルバムだといえるでしょう。
イーグルス アルバム ならず者の魅力を振り返ってまとめ
1973年に発表された『ならず者(Desperado)』は、イーグルスが音楽的にも精神的にも成長を遂げた節目のアルバムでした。
西部劇の世界観と現代の感情を融合させたその物語性は、今もなお多くのリスナーの心をつかみ続けています。
ただの音楽作品ではなく、人生や自由、孤独、運命といった普遍的なテーマに触れることができる、まさに「聴く文学」ともいえる一枚です。
また、代表曲「ならず者」や「テキーラ・サンライズ」など、バンドを象徴する名曲たちはもちろん、アルバム全体を通して聴いたときにこそ見えてくる深いメッセージも多く含まれています。
そして、その完成度を支えたのが、グリン・ジョンズのプロデュースとロンドンでのレコーディング環境でした。
これらの要素が絡み合って、『ならず者』は時代を超える名盤としての地位を確立しました。
今なお多くのアーティストにカバーされ、映画やドラマでも使われ続けていることからも分かるように、このアルバムの影響力は計り知れません。
イーグルスを初めて聴く方にも、何度も聴いているファンにも、新たな発見と感動を与えてくれる作品です。
時代が変わってもなお輝きを失わない『ならず者』を、ぜひじっくりと味わってみてください。
- 『ならず者』はイーグルスのセカンド・アルバム
- 西部のアウトローをテーマにしたコンセプト作品
- 「テキーラ・サンライズ」など名曲を多数収録
- ドン・ヘンリー&グレン・フライ体制の出発点
- ロンドンで録音され、短期間で制作された
- グリン・ジョンズのプロデュースが光る作品
- リンダ・ロンシュタットなど多くのカバーで再評価
- 映画・ドラマにも使われる永遠のスタンダード

