ポール・マッカートニーの名盤『公式海賊盤』は、MTVアンプラグドで収録されたライブアルバムとして1991年にリリースされました。
本作はビートルズ時代の名曲やジョン・レノンを想起させるロックンロールカバーが多数含まれ、アナログ盤でも高い評価を得ています。
この記事では、『公式海賊盤』の収録曲目一覧や魅力、使用されたギターや演奏スタイルまで、ファンなら知っておきたい情報を徹底的に解説します。
- ポール・マッカートニー『公式海賊盤』の制作背景と命名の理由
- 全収録曲の特徴と聴きどころをギター視点で解説
- ビートルズやジョン・レノンとの音楽的つながりを再発見
『公式海賊盤』の曲目一覧とその魅力
ポール・マッカートニーの『公式海賊盤(Unplugged – The Official Bootleg)』は、1991年にリリースされたライブアルバムで、MTVアンプラグドの番組収録音源が使用されています。
アコースティックギターを中心とした編成で、ポールの音楽性の原点に立ち返ったような、シンプルで温かみのある演奏が大きな魅力です。
ここでは収録曲の一覧を紹介しつつ、その選曲の意図と聴きどころを解説していきます。
収録曲全曲紹介|ディスク別ガイド
本作『公式海賊盤』は、1991年1月に収録されたMTVアンプラグドでのアコースティック・ライヴを収めたアルバムです。
ここでは全収録曲を1曲ずつ丁寧に紹介し、楽曲の背景や聴きどころをお伝えします。
ディスク1|MTVアンプラグド・セッション(1991年1月25日 ロンドン収録)
ディスク1|MTVアンプラグド・セッション(1991年1月25日 ロンドン収録)
- ビー・バップ・ア・ルーラ:ロカビリーの古典をカバー。ジョン・レノンが愛したジーン・ヴィンセントの楽曲で、ポールがロックの原点に立ち返った1曲。
- アイ・ロスト・マイ・リトル・ガール:ポールが14歳の時に書いた最初期の自作曲。彼の音楽人生の原点とも言える貴重な演奏。
- ヒア・ゼア・アンド・エヴリホエア:ビートルズ時代の名バラードをセルフカバー。アコースティック編成での繊細な響きが胸を打つ。
- ブルー・ムーン・オブ・ケンタッキー:エルヴィス・プレスリーでも知られるブルーグラス・スタンダード。ポールがブルースやカントリーに敬意を表した1曲。
- 恋を抱きしめよう(We Can Work It Out):原曲のリズム感を残しつつ、より温かみのある演奏に再構築。アコースティックによって新たな魅力が開花。
- サンフランシスコ・ベイ・ブルース:フルーキーなリズムと遊び心にあふれたカバー。ライヴならではの楽しさが詰まっている。
- 夢の人(I’ve Just Seen a Face):『ヘルプ!』収録の佳曲を、より軽やかに再解釈。フォーク・ロック調のアレンジが秀逸。
- エヴリ・ナイト:ソロアルバム『マッカートニー』収録の名曲。日常の愛しさと孤独を優しく歌い上げる。
- シーズ・ア・ウーマン:ビートルズ中期のR&Bナンバー。アコースティックでもファンキーなリズム感が冴える。
- ハイヒール・スニーカーズ:リズム&ブルースのカバー。軽快なビートと遊び心あるボーカルが印象的なパフォーマンス。
- アンド・アイ・ラヴ・ハー:アコースティックでこそ映えるラブソング。ビートルズ時代よりも柔らかく、より成熟した響きを感じさせる。
- ザット・ウッド・ビー・サムシング:ポールのソロ初期の楽曲。シンプルながらも深みのあるアコースティックアレンジで再評価の機会に。
- ブラックバード:おなじみの名曲を、生演奏で。右手の独特なアルペジオ奏法が際立ち、ギタリスト視点でも学びが多い1曲。
- エイント・ノー・サンシャイン:ビル・ウィザースのソウル名曲をカバー。ポールの低音の効いたヴォーカルが新鮮。
- グッド・ロッキン・トゥナイト:エネルギッシュなロックンロールで、終盤にかけてライヴの勢いを加速させる。
- シンギング・ザ・ブルース:軽快なリズムとキャッチーなメロディ。観客との一体感が伝わるラスト前の盛り上がり曲。
- ジャンク:穏やかなメロディが心に染み入るラスト曲。ポールらしい日常描写と詩情が感じられる締めくくり。
MTVアンプラグドでの選曲と構成
本作には全17曲が収録されており、ビートルズ時代の名曲や、初期の未発表曲、そして往年のロックンロール・スタンダードなどがバランスよく選ばれています。
特に注目すべきは、ジョン・レノンと出会う前に作られた「I Lost My Little Girl」や、エルヴィス・プレスリーでも有名な「Blue Moon of Kentucky」など、ポールのルーツを辿るようなラインナップです。
Be-Bop-A-Lula / I Lost My Little Girl / Here, There and Everywhere / Blue Moon of Kentucky / We Can Work It Out / San Francisco Bay Blues / I’ve Just Seen a Face / Every Night / She’s a Woman / Hi-Heel Sneakers / And I Love Her / That Would Be Something / Blackbird / Ain’t No Sunshine / Good Rockin’ Tonight / Singing the Blues / Junk
この選曲からは、ポールの音楽的ルーツと、ビートルズ時代を超えた多彩な表現力を感じ取ることができます。
アナログ盤限定の音の厚みと価値
『公式海賊盤』は、CDだけでなくアナログ盤でも発売されており、特にアナログ盤は現在でも高い人気を誇っています。
アナログならではの温かく柔らかな音質が、アンプラグドのライブ音源と絶妙にマッチしており、「レコードで聴いてこそ真価を発揮するアルバム」という声も多く見られます。
現在は中古市場でも高値で取引されており、アナログファンやコレクターにとっても価値の高い一枚となっています。
ポール・マッカートニーが語る『公式海賊盤』の制作背景
『公式海賊盤(Unplugged – The Official Bootleg)』というタイトルには、ポール・マッカートニーならではのユーモアと音楽業界へのアイロニーが込められています。
「公式」なのに「海賊盤」という矛盾を抱えたネーミングは、ファンや評論家の間でも話題となりました。
このタイトルと企画意図を紐解くことで、作品への理解がより深まります。
なぜ“公式”かつ“海賊盤”というタイトルなのか
このアルバムはもともと、MTVが展開していたアコースティックライブ番組「MTVアンプラグド」への出演がきっかけでした。
当時、MTVアンプラグド出演アーティストの演奏が非公式に録音され、海賊盤として出回るという現象が頻繁に起きていました。
その風潮に対抗し、ポールは「だったら最初から自分で“公式”の“海賊盤”を出してしまおう」という、痛快な発想でこのタイトルを命名したのです。
ライブアルバムとしての革新性
『公式海賊盤』は、当時としては珍しかった「完全アコースティック編成」でのライブ録音を公式リリースした作品です。
電気楽器なし、オーバーダビングなし、編集も最小限というストイックな収録スタイルが大きな話題を呼びました。
これにより、ポールの“生の声”や“呼吸感”がリアルに伝わる一枚に仕上がっています。
「ライブの臨場感をそのまま届けたい」というポールの思いが、音作りのすべてに表れています。
ギター視点で聴く『公式海賊盤』
『公式海賊盤』のもう一つの魅力は、ギター演奏の丁寧さと音の美しさにあります。
ポール・マッカートニーはベースの名手として知られていますが、ギターの腕前も一級品であることが、この作品であらためて証明されました。
ここでは、ギター視点で注目したいポイントを紹介していきます。
アコースティックギターの使用モデルと音作り
ポールが使用したメインギターは、Martin D-28や、Epiphone Texanといった定番のアコースティックギターでした。
特にEpiphone Texanは、「イエスタデイ」や「ブラックバード」など、ビートルズ時代の名演でも使用された一本であり、ポールの“原点回帰”を象徴する楽器といえます。
ピックではなくフィンガースタイルで弾く曲が多く、繊細なニュアンスと自然な倍音が際立つ仕上がりです。
ギタリストとしてのポールの魅力
ポールはギタリストとしてのキャリアをあまり語りませんが、コードワーク、フィルイン、リズムの作り方など、その技術は非常に高く、楽曲を立体的に構成しています。
たとえば「ブラックバード」では、右手の親指と人差し指を使った独特のアルペジオ奏法が聴け、クラシックギターの要素とポップスの融合が見事です。
また、「アイ・ロスト・マイ・リトル・ガール」では、コードの動きの中にポールらしいメロディ感がにじみ出ており、ただの弾き語りではない深さを感じさせます。
ギタリストの視点でこのアルバムを聴き直すと、ポールの音楽性の幅と深さを再発見できるはずです。
『公式海賊盤』に込められたビートルズとジョン・レノンの影
『公式海賊盤』は単なるソロ・ライブではありません。
そこには、ポール・マッカートニーの原点=ビートルズと、かけがえのない盟友ジョン・レノンの影が、確かに映し出されています。
演奏曲とその選び方からも、二人の音楽的ルーツや関係性が浮かび上がってきます。
「アイ・ロスト・マイ・リトル・ガール」に込めた初期の思い
この曲は、ポールが14歳のとき、母親を亡くした直後に作ったとされる最初期の作品です。
そしてこの時期、彼はジョン・レノンと出会い、ビートルズの歴史が始まるわけですが、ポールの創作が“個人的な喪失”から出発していたことは、ジョンとの共鳴を思わせます。
本作での演奏は、シンプルながらも真っ直ぐで、少年時代の無垢な感情をそのまま届けるような響きを持っています。
「ビー・バップ・ア・ルーラ」とジョン・レノンとのリンク
このロカビリーの名曲は、ジョン・レノンが生涯愛したロックンロールの象徴的楽曲です。
実際にジョンは、自身のカバーアルバム『Rock ‘n’ Roll』でもこの曲を取り上げています。
それをポールがあえてこの場で取り上げた背景には、ジョンへのオマージュ、そして二人が共有していた音楽的記憶が込められていると考えられます。
アンプラグドでのカバーは、原曲よりも優しく、懐かしさと敬意が交差する感動的な演奏となっています。
ポール・マッカートニー『公式海賊盤』の価値を再評価するまとめ
『公式海賊盤(Unplugged – The Official Bootleg)』は、ポール・マッカートニーのアーティストとしての力量と人間味が、ありのままに映し出されたライブアルバムです。
派手な演出や加工を排した、“素のポール”に出会える数少ない作品であり、ビートルズ時代から現在に至るまでの軌跡が音として感じられます。
MTVアンプラグドのフォーマットを活かしながら、独自のアイディアと精神性を込めた本作は、今だからこそ再評価されるべき1枚です。
あらためて聴き直してみると、アコースティックという制限の中でも、楽曲の表現力やアレンジ力、そしてメッセージ性が一層際立っていることに驚かされます。
特に、ジョン・レノンとの絆を感じさせる選曲や、14歳の自作曲を披露する姿勢は、ポールの音楽が人生そのものであることを証明しています。
ビートルズファンはもちろん、音楽ファン、ギター愛好者にも必ず響く一枚です。
『公式海賊盤』は、“再発見されるべき傑作”として、これからも語り継がれていくことでしょう。
- ポール・マッカートニーの公式ライブ盤『公式海賊盤』を解説
- MTVアンプラグド出演音源を使用したアコースティック構成
- 「公式」かつ「海賊盤」というユニークなタイトルの意味
- ビートルズ時代や初期自作曲も収録された選曲の妙
- ギター演奏の視点から見たポールの技巧と表現力
- ジョン・レノンへのオマージュが随所に込められている
- アナログ盤での音質の良さとコレクター的価値にも注目

