1974年にリリースされたリンゴ・スターのソロアルバム『グッドナイト・ウィーン』は、元ビートルズのドラマーとしての彼の存在感を再確認させる1枚です。ジョン・レノンをはじめとするオールスターたちの豪華な参加、そして「オンリー・ユー」や「ノー・ノー・ソング」といった名曲が詰まったこの作品は、今なお多くの音楽ファンに愛され続けています。
- リンゴ・スター『グッドナイト・ウィーン』の魅力と背景
- ジョン・レノンなど豪華ゲストが参加した制作秘話
- 全収録曲の聴きどころと名曲の魅力を徹底解説
リンゴ・スターの音楽的個性が光るソロアルバム
1974年にリリースされたリンゴ・スターの4枚目のソロアルバム『グッドナイト・ウィーン』は、彼の音楽的個性と表現力が存分に発揮された一枚です。
元ビートルズのドラマーとしての肩書きだけでは語れない、リンゴ自身の独自のユーモア感覚や、親しみやすいポップセンスが全編にわたって貫かれています。
彼のソロキャリアにおいても、この作品は重要な転換点となりました。
ソロ4作目となる『グッドナイト・ウィーン』の位置付け
前作『Ringo』の大成功を受けて発表されたこのアルバムは、前作と同じく豪華なゲスト陣を迎えた「オールスター・アルバム」として制作されました。
プロデュースは引き続きリチャード・ペリーが担当し、ロサンゼルスでのレコーディングが行われました。
タイトルの『グッドナイト・ウィーン』はリバプールの俗語で「ずらかる(退散する)」という意味があり、リンゴらしいウィットの効いたネーミングとなっています。
ジョン・レノンとの再共演が生んだ楽曲たち
アルバム冒頭と終盤を飾るタイトル曲「Goodnight Vienna」は、ジョン・レノンが書き下ろしたロックンロールナンバーです。
楽曲はジョンの「ワン・ツー・スリー・フォー!」というカウントから始まり、ビートルズ時代を彷彿とさせるエネルギーに満ちています。
レノンのギターとリンゴのヴォーカルが絶妙に絡み合い、この時期のリンゴ作品の中でも特に印象的な一曲に仕上がっています。
1974年という時代背景が後押ししたソロ活動
1974年当時、ジョン、ポール、ジョージそれぞれが活発なソロ活動を展開する中で、リンゴも負けじとその存在感を高めていました。
『グッドナイト・ウィーン』は、リンゴが単なる「元ビートルズ」ではなく、自立したアーティストとして評価され始めた象徴的な作品です。
その背景には、当時のロックシーン全体が「個の魅力」に焦点を当て始めていたという時代の流れもあったのです。
収録曲全曲紹介|ディスク別ガイド
本作『グッドナイト・ウィーン』は、リンゴ・スターの1974年発表のスタジオ・アルバムで、サイド1・サイド2構成の全11曲を収録。
ジョン・レノンをはじめとする豪華ゲストとの共演により、多彩なジャンルと世界観を展開したソロ代表作です。
ディスク1|サイド1(Side One)
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グッドナイト・ウィーン(2:35)
─ ジョン・レノン作。軽快なロックンロールで幕を開ける本作のタイトル曲。ジョンのカウントとギターが印象的。 -
オカペラ(2:55)
─ アラン・トゥーサン作のR&Bナンバー。ニューオーリンズの陽気なスピリットをDr. Johnのプレイが支える。 -
ウー・ウィー(3:45)
─ リンゴ&ポンシアによるオリジナル。シャッフル調のリズムにのせて、のびのびとしたリンゴのボーカルが楽しめる。 -
ハズバンズ・アンド・ワイブス(3:34)
─ カントリーシンガー、ロジャー・ミラーのカバー。リンゴの得意とするカントリーバラード。 -
スヌーカルー(3:27)
─ エルトン・ジョン&バーニー・トーピン作。ピアノとギターが炸裂するエネルギッシュな楽曲で、エルトン自身が演奏で参加。
ディスク2|サイド2(Side Two)
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オール・バイ・マイセルフ(3:21)
─ リンゴとポンシアの共作。軽快なブラスと共に陽気な“リンゴ節”が冴える。 -
コール・ミー(4:07)
─ リンゴ単独作。若き日のデヴィッド・フォスターがピアノで参加した、シンプルかつ温かみのある一曲。 -
ノー・ノー・ソング(2:33)
─ ホイト・アクストン作の皮肉とユーモアに富んだ楽曲。リンゴのキャラが最大限に活かされた大ヒット曲。 -
オンリー・ユー(3:26)
─ プラターズの1955年ヒット曲をカバー。ジョン・レノンのギターとニルソンのコーラスが味わい深い。 -
イージー・フォー・ミー(2:20)
─ ハリー・ニルソン作。ビートルズ時代の「グッド・ナイト」を思わせる、優しく静かなバラード。 -
グッドナイト・ウィーン(リプライズ)(1:20)
─ オープニング曲のリプライズ。ライブ終演のような華やかなフィナーレで締めくくられる。
ヒット曲満載!リスナーに刺さる名曲たち
『グッドナイト・ウィーン』には、リンゴ・スターの代表曲として語り継がれる名曲が数多く収録されています。
ジョン・レノンやハリー・ニルソンとの共演によって生まれた繊細かつユニークなアレンジも、このアルバムの大きな魅力です。
1970年代前半の洋楽シーンを彩ったヒットソングたちは、今聴いても色褪せることがありません。
「オンリー・ユー」に見るカバーアレンジの妙
プラターズの名曲「Only You」は、1950年代のオールディーズを象徴するラブソングですが、リンゴ・スターのバージョンでは一転して、アコースティックなバラード風にアレンジされています。
ジョン・レノンがアコースティック・ギターで参加し、ハリー・ニルソンのコーラスが加わることで、ノスタルジックかつ温かみのあるサウンドが完成しています。
情感たっぷりの原曲に対して、リンゴのサラリとした歌い回しが逆に優しさや包容力を際立たせるという、見事なカバーとなりました。
「ノー・ノー・ソング」で描かれるユーモアと社会性
アルバムから生まれたもう一つの大ヒット曲「No No Song」は、麻薬や酒を断る主人公の立場をユーモアたっぷりに描いた異色作です。
この曲は、シンガーソングライターのホイト・アクストンによる作品で、陽気なリズムに乗せて歌われる“誘惑を断るストーリー”は、当時としても珍しいテーマでした。
アメリカではシングルとしてBillboard Hot 100で第3位を記録し、リンゴのキャラクターが最大限に活かされた楽曲として今でもファンに愛されています。
アルバムに息づく“親しみやすさ”と“遊び心”
『グッドナイト・ウィーン』に収録された他の曲にも、ニューオーリンズ風の「Oo-Wee」や「All By Myself」、カントリーテイストの「Husbands And Wives」など、多彩な楽曲が並びます。
どの曲にも共通しているのは、肩肘張らずに聴ける心地よさと、リンゴらしい遊び心です。
名声や技巧を誇示するのではなく、純粋に「音楽を楽しむ」ための一枚として、今も多くのリスナーの心をつかんで離しません。
オールスターの共演がアルバムをさらに高めた
『グッドナイト・ウィーン』の最大の魅力のひとつが、豪華すぎるゲスト陣によるサポートです。
リンゴ・スターが築いてきた音楽仲間との信頼関係が、このアルバムに結晶として現れており、単なるソロ作品を超えた「コラボレーション・アルバム」としての完成度を誇ります。
それぞれのゲストが放つ音の個性が、リンゴのパーソナリティと見事に融合しているのです。
エルトン・ジョンやドクター・ジョンなど錚々たる顔ぶれ
本作には、エルトン・ジョン、ドクター・ジョン、ビリー・プレストン、ロビー・ロバートソンといった1970年代を代表するミュージシャンたちが多数参加しています。
それぞれが担当するパートでは、演奏者としての個性が強く感じられると同時に、リンゴのボーカルを支える絶妙なバランスが保たれています。
まさに、“リンゴ・スターでなければ集められなかった”オールスター・キャストといえるでしょう。
楽曲ごとに光るゲストの貢献
例えば「Snookeroo」は、エルトン・ジョンとバーニー・トーピンのコンビによる書き下ろし曲で、ピアノとギターのアンサンブルが印象的なナンバーです。
また、「All By Myself」ではドクター・ジョンが軽快なピアノを披露し、ニューオーリンズ風のアレンジで作品にユーモアとスウィング感を加えています。
さらに、「Call Me」では若き日のデヴィッド・フォスターがピアノを担当し、アルバムにモダンな彩りを添えています。
“With A Little Help From My Friends”の精神を継ぐ一作
『グッドナイト・ウィーン』は、ビートルズ時代のリンゴを象徴する楽曲「With A Little Help From My Friends」の精神を、そのまま体現したような作品です。
自分の声を生かすために誰とどう演奏するかを知っているリンゴだからこそ、仲間たちの力を自然体で取り入れ、最高の形で仕上げることができたのです。
友情と音楽愛が詰まったオールスター・アルバムとして、今なお多くのファンに語り継がれています。
まとめ:『グッドナイト・ウィーン』は時代を超えた名盤
1974年にリリースされたリンゴ・スターの『グッドナイト・ウィーン』は、ソロアーティストとしての成熟と、人間的な魅力が凝縮された作品です。
ジョン・レノンや他のスターたちとの共演、そして「オンリー・ユー」や「ノー・ノー・ソング」といった名曲の数々が、アルバムに色と深みを与えています。
一見シンプルながら、聴けば聴くほど味わいが増す、まさに“じわじわと染み込む”タイプの名盤です。
今でも「元ビートルズのドラマー」という肩書きに隠れて語られがちなリンゴ・スターですが、このアルバムを聴けば、彼自身の音楽的センスとプロデュース力の高さに気づくはずです。
『グッドナイト・ウィーン』は、そうしたリンゴの魅力を最も自然体で伝えてくれる作品のひとつです。
そして何より、音楽って楽しい!というメッセージがまっすぐ伝わってくるのが、最大の魅力なのかもしれません。
時代が移り変わっても、変わらず心に響くこのアルバム。『グッドナイト・ウィーン』は、まさに時代を超えた名盤です。
- リンゴ・スターのソロアルバム『グッドナイト・ウィーン』の魅力
- ジョン・レノンとの再共演による名曲の誕生
- 「オンリー・ユー」や「ノー・ノー・ソング」のヒット背景
- オールスターによる豪華な演奏陣の参加
- 収録曲全11曲の簡潔な楽曲解説
- 1974年という時代背景とリンゴの立ち位置
- ポップス、カントリー、R&Bなど多彩な音楽性
- ユーモアと温かみを感じるリンゴ独自の世界観

