『トラヴェリング・ウィルベリーズ Vol.3』は、ジョージ・ハリスン、ボブ・ディラン、ジェフ・リン、トム・ペティという音楽界のレジェンドが集結した覆面バンドのセカンドアルバムです。
「She’s My Baby」や「Wilbury Twist」などの楽曲は、リードボーカルを代わる代わる取りながら、それぞれの個性を際立たせています。
ロイ・オービソンとデル・シャノンの不在を乗り越えた本作は、リマスター盤やコレクションでも再注目されており、その魅力を今こそ深掘りしてみましょう。
- トラヴェリング・ウィルベリーズVol.3誕生の背景と意味!
- 豪華4人が生んだ楽曲とリードボーカルの聴きどころ!
- リマスター版・コレクション盤で再評価される理由!
『Vol.3』最大の魅力は豪華メンバーによるリードボーカルの多彩さ
トラヴェリング・ウィルベリーズの『Vol.3』は、何よりも4人の伝説的アーティストによるリードボーカルの多彩さが際立っています。
ジョージ・ハリスン、ボブ・ディラン、ジェフ・リン、トム・ペティという顔ぶれが、それぞれの個性を存分に発揮したボーカルを披露しており、まるでリスナーを音楽の旅に連れて行くような構成になっています。
単なるスーパーバンドの寄せ集めではなく、各メンバーの音楽的背景と声質を活かし合うアンサンブルこそが『Vol.3』の本質なのです。
例えば、冒頭の「She’s My Baby」では4人全員がリードボーカルを分担し、異なる声の個性が次々に登場することで、曲全体にワクワクするようなダイナミズムが生まれています。
また、「Inside Out」でも同様に全員が歌いながら、各パートが自然に溶け込んでいく構成は、まさに奇跡のバランスです。
特に印象的なのは「If You Belonged To Me」のボブ・ディランのソロパートで、彼のシニカルなリリックと語りかけるような歌い方が際立っています。
一方で、「New Blue Moon」「You Took My Breath Away」ではジョージ・ハリスンのリードが光り、彼ならではのメロディ感覚と柔らかさがアルバムに温もりを与えています。
そして「Poor House」「7 Deadly Sins」などではディランとトム・ペティが交互にリードを取り、曲ごとに変わる主役の妙もリスナーの興味を惹きつけ続けます。
このように、リードボーカルの配置に明確な意図とバリエーションがあり、それがアルバム全体の豊かさと飽きのこなさを生んでいます。
ジョージ・ハリスンやトム・ペティが主役となる名曲
『Vol.3』において、ジョージ・ハリスンとトム・ペティの存在感は極めて大きなものがあります。
特にジョージ・ハリスンは、「You Took My Breath Away」や「New Blue Moon」でリードを取り、彼の優美で繊細な歌声がアルバムに叙情的な彩りを加えています。
ハリスンのボーカルは、ロイ・オービソンの死後、グループのメロディックな側面を引き継ぐ役割を果たしているとも言えます。
一方、トム・ペティは「Cool Dry Place」や「Where Were You Last Night?」などでリードを務め、ロックの王道的な勢いとカジュアルな歌心を注入しています。
とりわけ「Cool Dry Place」のような軽快なナンバーでは、彼の声が持つ中性的な質感が楽曲の親しみやすさを高めています。
加えて、「Wilbury Twist」ではハリスンとペティが再びフロントに立ち、メンバー全員で楽しむロックンロールの祝祭が展開されます。
このように、ハリスンとペティのボーカルが中心となる楽曲は、アルバムの幅広い表情を作り出す柱となっています。
それぞれの曲において、彼らのキャリアや音楽性が色濃く反映されており、リスナーがその魅力を再発見できる貴重な機会とも言えるでしょう。
ボブ・ディランの存在感と楽曲の深み
ボブ・ディランの存在感は、『Vol.3』の中でもひときわ強く感じられます。
ディランは複数の楽曲でリードボーカルを担当し、アルバム全体に文学的な奥行きと皮肉の効いた世界観を持ち込んでいます。
「If You Belonged To Me」では、彼独特の語り口が冴えわたり、軽快ながらもどこか哀愁漂う名曲に仕上がっています。
また「Poor House」や「The Devil’s Been Busy」では、社会風刺やブラックユーモアを織り交ぜながら、ディランらしい知性と反骨精神がにじみ出ています。
「7 Deadly Sins」では、恋愛をテーマにした曲でありながら、古典文学のような象徴的な表現が盛り込まれており、聴き応えがあります。
これらの楽曲は、ディランの作詞能力と物語性が最大限に発揮されたトラックとして、ファンの間でも評価が高い部分です。
また、他のメンバーとの掛け合いにおいても、彼の低く渋い声がアクセントとなり、アルバムに絶妙な重厚感をもたらしています。
特に「Where Were You Last Night?」のようなフォーキーな曲では、ジョージとのハーモニーに深い味わいがあり、ディランの魅力が引き立つ名演となっています。
全体を通じて、『Vol.3』はディラン色が濃いアルバムとも言われるほど、その影響力は大きく、作品の方向性を形作った中心人物のひとりと言えるでしょう。
ジェフ・リンのプロデュース力とサウンドの統一感
『Vol.3』が一貫した高品質な仕上がりになっている背景には、ジェフ・リンのプロデュース力があります。
彼はElectric Light Orchestra(ELO)での豊富な経験を活かし、各メンバーの個性を最大限に引き出しながらも、全体に統一感をもたらすという極めて難しい役割を見事に果たしました。
録音技術や楽器アレンジ、ミックスまで関与し、滑らかで耳馴染みの良いサウンドを作り上げています。
たとえば、「Wilbury Twist」では、ブギー調のテンポ感ある楽曲に対し、重くなりすぎず、陽気なパーティー感が漂う音作りが印象的です。
また、「Inside Out」のように環境問題を扱うメッセージ性の強い楽曲でも、過剰に説教くさくならず、ポップに仕上げるセンスが光ります。
このようなアプローチは、楽曲のテーマと聴きやすさを両立させる点で、リスナーの幅を広げる要因となっています。
さらに、ハーモニーやコーラスワークにおいても、ジェフ・リンらしい音の重ね方と緻密な設計が随所に見られます。
彼の手腕により、単なる寄せ集め感が排除され、「ひとつのバンド」としての完成度を実現しています。
結果として、『Vol.3』は90年代ロックの中でも異彩を放つ、統一感と多様性を兼ね備えた名盤となったのです。
代表曲「She’s My Baby」と「Wilbury Twist」の聴きどころ
『Vol.3』を語る上で欠かせないのが、冒頭を飾る「She’s My Baby」と、締めくくりの「Wilbury Twist」です。
この2曲は、それぞれ異なるスタイルでありながら、トラヴェリング・ウィルベリーズの魅力を凝縮した代表作とされています。
特に「She’s My Baby」は、メンバー全員がリードボーカルをとるという大胆な構成で、オープニングにふさわしい華やかさを放っています。
ジョージ・ハリスンのポップな響きに始まり、ボブ・ディランのシニカルな声、ジェフ・リンのクリアな歌声、そしてトム・ペティの軽快なフレーズへと流れる展開は、まさに音のリレー。
さらに、リードギターにはなんとゲイリー・ムーアが参加しており、骨太なギターソロが曲にロックのエッジを加えています。
映像ではメンバー全員が楽しそうにプレイする姿も印象的で、バンドの仲の良さと音楽の一体感が伝わってきます。
一方「Wilbury Twist」は、アルバムのラストに収められた、エネルギッシュなブギー調のナンバー。
歌詞ではコミカルなダンス指導が繰り広げられ、メンバー全員が順番にボーカルを回しながら盛り上げていくという、ライブ感の強い楽曲です。
この曲では、ジェフ・リンのアレンジが光り、最後までリスナーを飽きさせない工夫が詰め込まれています。
2曲を通して伝わるのは、“楽しさ”を音楽に昇華するバンドの姿勢です。
聴く者に肩の力を抜かせてくれるような、ウィルベリーズならではの余裕と遊び心が、まさにこの2曲には凝縮されています。
それぞれの楽器・ボーカル分担と音の厚み
『Vol.3』の楽曲群では、メンバーそれぞれの楽器・ボーカル分担が明確に設計されており、それがサウンドの深みと立体感を生み出しています。
全員がマルチプレイヤーであるという特性を活かし、1曲の中でも複数の役割を自然に切り替えているのが大きな特徴です。
たとえば「She’s My Baby」では、リードボーカルを全員で回しながらも、ジェフ・リンがベースラインとキーボード、ジョージ・ハリスンがギター、トム・ペティがバッキングギターと役割を分担し、ボブ・ディランはボーカルとハーモニカに集中する構成になっています。
バックにはセッションドラマーのジム・ケルトナーが参加し、タイトなリズムを支えています。
このような構造により、音のレイヤーが自然に重なり合い、厚みのある仕上がりとなっているのです。
さらに、「Wilbury Twist」では全員がボーカルと楽器を交互に担当し、コーラスとユニゾンの重なりが映像的な広がりを感じさせてくれます。
加えて、ジェフ・リンのプロデュースによる録音技術も大きく貢献しています。
ボーカルが前面に出つつも、後ろで鳴るギターやキーボードがしっかり空間を埋める設計は、まさに彼ならではの技術力です。
そのため、ヘッドホンでじっくり聴くと、それぞれの楽器の役割やボーカルの入り方が手に取るようにわかるほどの完成度となっています。
映像から感じ取れるメンバー間の絆
『Vol.3』の魅力は音源だけにとどまらず、ミュージックビデオや映像資料から伝わってくるメンバー同士の絆にも強く表れています。
「She’s My Baby」や「Wilbury Twist」の映像を見ると、スーパースター同士とは思えないほど自然体で楽しそうな姿が印象的です。
肩書きや立場を超え、純粋に音楽を楽しむ仲間として集まっていることが一目で分かります。
とくに「She’s My Baby」の映像では、マイク1本を囲んで歌うシーンが象徴的です。
ジョージ・ハリスン、ボブ・ディラン、ジェフ・リン、トム・ペティが身を寄せ合い、笑顔を交えながら歌う様子は、計算された演出というよりも、友情の延長線上にあるセッションに見えます。
この距離感こそが、トラヴェリング・ウィルベリーズという覆面バンドの本質を表していると言えるでしょう。
また、「Wilbury Twist」では、ユーモアと遊び心が前面に出た演出が展開され、メンバー全員がまるで学生バンドのようにはしゃいでいます。
この姿からは、成功や名声を超えた“音楽仲間”としての関係性が強く感じ取れます。
ロイ・オービソンやデル・シャノンを失った後だからこそ、残された4人が音楽を共有する時間を大切にしていたことも伝わってきます。
こうした映像を通じて、『Vol.3』は単なるアルバムではなく、友情と信頼によって生まれた記録であることがより鮮明になります。
音と映像の両面から楽しむことで、トラヴェリング・ウィルベリーズという存在の特別さを、より深く実感できるはずです。
収録曲全曲紹介|アルバム『トラヴェリング・ウィルベリーズ Vol.3』完全ガイド
『トラヴェリング・ウィルベリーズ Vol.3』は、全11曲というコンパクトな構成ながら、4人の個性と友情が濃密に詰め込まれた作品です。
ここでは全収録曲を1曲ずつ取り上げ、楽曲の特徴や聴きどころを簡潔に紹介します。
ディスク1|スタジオ・アルバム『Vol.3』全曲解説
- シーズ・マイ・ベイビー(She’s My Baby):4人全員がリードを取る華やかなオープニング。ウィルベリーズの楽しさが一瞬で伝わる。
- インサイド・アウト(Inside Out):環境問題をテーマにしたポップロック。軽快さとメッセージ性を両立した佳曲。
- イフ・ユー・ビロングド・トゥ・ミー(If You Belonged To Me):ボブ・ディラン主導のフォーキーなナンバー。語りかけるような歌唱が印象的。
- デヴィルズ・ビーン・ビジー(The Devil’s Been Busy):ブラックユーモアが効いたロックンロール。ディラン色の濃い皮肉な世界観。
- セヴン・デッドリー・シンズ(7 Deadly Sins):古き良きアメリカを感じさせるロッカバラード。恋愛と罪を軽妙に描く。
- プア・ハウス(Poor House):ジェフ・リンとトム・ペティの掛け合いが心地よい、温度感のあるミドルテンポ曲。
- ホエア・ワー・ユー・ラスト・ナイト?(Where Were You Last Night?):ディランとジョージのハーモニーが際立つ、ノスタルジックな一曲。
- クール・ドライ・プレイス(Cool Dry Place):トム・ペティの声が映える爽快なロックナンバー。肩の力が抜けた名曲。
- ニュー・ブルー・ムーン(New Blue Moon):ジョージ・ハリスンのメロディセンスが光る、叙情的で優しい楽曲。
- ユー・トゥック・マイ・プレイス・アウェイ(You Took My Breath Away):ジェフ・リン主導のポップソング。コーラスワークの美しさが際立つ。
- ウィルベリー・ツイスト(Wilbury Twist):全員参加のブギー・ロック。遊び心とライブ感に満ちた痛快なフィナーレ。
なぜ2枚目なのに『Vol.3』?複雑な背景と制作秘話
『トラヴェリング・ウィルベリーズ Vol.3』について多くの人が最初に抱く疑問が、「なぜ2枚目のアルバムなのにVol.3なのか」という点でしょう。
この不可解なナンバリングには、バンドの歴史と避けることのできなかった悲劇が深く関わっています。
単なるジョークや遊び心だけではなく、ウィルベリーズらしい誠実さが込められた選択だったのです。
もともとトラヴェリング・ウィルベリーズは、ジョージ・ハリスン、ボブ・ディラン、ジェフ・リン、トム・ペティ、そしてロイ・オービソンの5人でスタートしました。
1stアルバム『Vol.1』の成功を受け、次作となる『Vol.2』の制作も水面下で進められていました。
しかし、その最中にロイ・オービソンが急逝し、この計画は大きく方向転換を余儀なくされます。
さらに、ロイの後任として迎えられたデル・シャノンもまた、制作途中で命を落とすという悲劇が重なりました。
この出来事により、『Vol.2』は正式な形で世に出ることなく、“幻のアルバム”として存在することになります。
その結果、残された4人は、欠番となったVol.2をあえて飛ばし、次作を『Vol.3』と名付ける決断を下したのです。
このナンバリングには、亡くなった仲間たちへの敬意と記憶を消さないという強い意志が込められています。
同時に、ユーモアを忘れないウィルベリーズらしい皮肉も感じられ、悲しみと遊び心が共存する象徴的なタイトルとなりました。
こうした背景を知った上で聴く『Vol.3』は、より一層深い意味を持つ作品として胸に響いてきます。
ロイ・オービソンの死とデル・シャノンの自殺
『Vol.3』という作品の背景を語る上で避けて通れないのが、ロイ・オービソンの死とデル・シャノンの自殺という、あまりにも重い出来事です。
この二つの悲劇は、トラヴェリング・ウィルベリーズの運命を大きく変え、アルバム制作の方向性や精神的な支柱にも深い影響を与えました。
単なるメンバーチェンジでは語れない、バンドの核心に関わる問題だったのです。
まず、ロイ・オービソンは、ウィルベリーズの中でも特に象徴的な存在でした。
『Vol.1』では「Not Alone Any More」で圧倒的な歌唱を披露し、その張り裂けるような高音はバンドの感情的な核となっていました。
しかし1988年、彼は心臓発作により急逝し、ウィルベリーズは精神的にも音楽的にも大きな喪失を抱えることになります。
その後、後任メンバーとして参加が検討され、実際にレコーディングにも関わったのがデル・シャノンでした。
「Runaway」で知られる彼は、ロイと同じく高い歌唱力を持つシンガーとして期待されていました。
しかし、制作途中で彼は猟銃自殺という形で命を絶ち、ウィルベリーズは再び深い悲しみに直面します。
この出来事により、制作中だった『Vol.2』は事実上お蔵入りとなり、残された4人は苦渋の決断を迫られました。
それでも彼らは活動を止めるのではなく、悲しみを抱えたまま音楽を続ける道を選びます。
『Vol.3』は、その選択の結果として生まれた、喪失と再生が共存する作品なのです。
幻の『Vol.2』とアルバム番号に込めた想い
トラヴェリング・ウィルベリーズのディスコグラフィーを語る際、決して存在しなかったはずの『Vol.2』は、逆説的に最も重要な意味を持っています。
実際には正式リリースされていないにもかかわらず、この欠番があることで『Vol.3』の物語性は一層強まっているのです。
アルバム番号そのものが、バンドの歴史を語るメッセージになっています。
前作『Vol.1』の成功後、メンバーたちは自然な流れで次作の制作に取りかかりました。
しかし、ロイ・オービソンの死、そしてデル・シャノンの悲劇が重なったことで、本来あるはずだった『Vol.2』は完成を迎えることなく消滅します。
この未完のアルバムは、単なる中止作品ではなく、失われた時間と仲間の象徴となりました。
そのため、残された4人は次作を「Vol.2」とする選択をあえて行いませんでした。
欠番をそのまま残し、「Vol.3」と名付けることで、亡くなったメンバーの存在を歴史から消さないという意思表示をしたのです。
この判断には、ウィルベリーズらしいユーモアと同時に、音楽仲間への深い敬意が込められています。
結果として『Vol.3』は、単なる2作目のアルバムではなく、バンドの歩みそのものを内包した作品となりました。
アルバム番号に込められた背景を知ることで、楽曲一つひとつがより重みを持って聴こえてくるはずです。
『Vol.3』というタイトルは、トラヴェリング・ウィルベリーズの誠実さと優しさを象徴する、静かなメッセージなのです。
リマスター版・コレクション盤で再評価される理由
『トラヴェリング・ウィルベリーズ Vol.3』は、発売当初だけでなく、リマスター版やコレクション盤の登場によって再評価が進んだ作品でもあります。
時代を経て音楽の聴かれ方が変化する中で、本作の完成度と普遍性が改めて浮き彫りになったと言えるでしょう。
特に2000年代以降、若い世代にも聴き継がれるようになった点は注目すべきポイントです。
2007年にリリースされたリマスター版では、音圧と解像度が大幅に向上しました。
ボーカルの輪郭がより明瞭になり、各メンバーの声質の違いがはっきりと感じ取れるようになっています。
また、ギターやキーボードの細かなフレーズ、リズム隊のニュアンスも立体的に再現され、オリジナル盤とは異なる発見があります。
さらに評価を高めた要因として、『トラヴェリング・ウィルベリーズ・コレクション』の存在は欠かせません。
このセットには『Vol.1』と『Vol.3』に加え、ドキュメンタリー映像やミュージックビデオが収録されており、バンドの全体像を立体的に理解できる構成となっています。
音源と映像をあわせて体験することで、ウィルベリーズの魅力がより深く伝わります。
こうした再発を通じて、『Vol.3』は単なる90年代ロック作品ではなく、時代を超えて聴かれるべき名盤として位置付けられるようになりました。
今あらためて聴くことで、当時気づかなかった細部や感情の機微に触れられる点も、再評価が進む理由のひとつです。
リマスター版・コレクション盤は、『Vol.3』の真価を知るための最良の入口と言えるでしょう。
2007年リリースのボーナストラック収録
2007年に発売されたリマスター版『トラヴェリング・ウィルベリーズ Vol.3』が高く評価される理由のひとつが、貴重なボーナストラックの追加収録です。
オリジナル盤を聴き込んできたファンにとっても、新たな発見と楽しみを与えてくれる内容となっています。
単なる音質改善にとどまらない再発である点が、大きな魅力です。
まず注目すべきは、「Nobody’s Child」の収録です。
この楽曲はチャリティ企画のために録音されたカバー曲で、温かみのあるハーモニーと素朴な演奏が印象的な一曲となっています。
ジョージ・ハリスン、トム・ペティ、ボブ・ディランがリードを分け合い、ウィルベリーズらしい人間味が強く感じられます。
もう一曲のボーナストラック「Runaway」は、デル・シャノンの代表曲として知られるナンバーのカバーです。
ここではジェフ・リンがリードボーカルを担当しており、原曲への敬意と現代的なサウンドが融合した仕上がりになっています。
この選曲自体が、亡くなったデル・シャノンへの追悼の意味を持っている点も見逃せません。
これらのボーナストラックを含めて聴くことで、『Vol.3』が持つ物語性はさらに補強されます。
本編では描き切れなかった感情や背景が、さりげなく補足されるような役割を果たしているのです。
その意味でも、2007年リマスター版はファン必聴のエディションと言えるでしょう。
ドキュメンタリーやビデオクリップの充実
『トラヴェリング・ウィルベリーズ Vol.3』が再評価される大きな理由として、ドキュメンタリー映像やビデオクリップの充実も挙げられます。
音源だけでは伝わりきらない、バンドの空気感や人間関係を可視化してくれる点が、ファンにとって非常に価値の高い要素となっています。
特に映像作品を通じて、ウィルベリーズの本質がより明確に浮かび上がります。
コレクション盤に収録されているドキュメンタリーでは、結成の経緯やレコーディング風景が丁寧に紹介されています。
そこに映し出されるのは、スーパースターとしての姿ではなく、冗談を言い合い、笑いながら音楽を作る等身大の4人です。
この自然体の様子こそが、トラヴェリング・ウィルベリーズの最大の魅力だと実感させてくれます。
また、「She’s My Baby」や「Wilbury Twist」などのビデオクリップでは、メンバー同士の距離の近さや信頼関係が随所に表れています。
演奏技術や演出以上に、一緒に音楽を楽しんでいる時間そのものが映像として残されている点は非常に貴重です。
これらの映像は、アルバムの楽曲をより立体的に理解するための重要な手がかりとなります。
音と映像をあわせて体験することで、『Vol.3』は単なる作品ではなく、友情の記録として心に残ります。
ドキュメンタリーやビデオクリップの存在が、このアルバムを時代を超えた名作へと押し上げているのは間違いありません。
トラヴェリング・ウィルベリーズ Vol.3の魅力まとめ
『トラヴェリング・ウィルベリーズ Vol.3』は、音楽史に残るスーパーバンドの「完成形」とも言えるアルバムです。
ジョージ・ハリスン、ボブ・ディラン、ジェフ・リン、トム・ペティという4人が、名声や役割を超えて対等に音楽を楽しむ姿勢が、全編にわたって刻まれています。
その結果、本作は肩肘張らずに何度でも聴ける、稀有な名盤となりました。
最大の魅力は、リードボーカルを分かち合うことで生まれた多様性にあります。
楽曲ごとに主役が入れ替わり、それぞれの個性が自然に浮かび上がる構成は、スーパーバンドにありがちな主導権争いを感じさせません。
むしろ、互いを尊重し合う関係性が、音楽そのものの魅力を引き上げています。
また、『Vol.3』というタイトルに込められた背景も、本作を特別な存在にしています。
ロイ・オービソンとデル・シャノンという失われた仲間への敬意を、あえて欠番という形で残した選択は、ウィルベリーズの誠実さそのものです。
この物語性を知った上で聴くことで、アルバムの響きはより深く、温度を持って胸に届きます。
さらに、リマスター版やコレクション盤によって、音質・資料・映像のすべてが補完された現在、『Vol.3』は再発見され続けています。
時代や世代を超えて聴き継がれる理由は、ここにあります。
気軽に楽しめる一方で、何度も聴くほどに深みが増す──それが『トラヴェリング・ウィルベリーズ Vol.3』なのです。
- 奇跡の覆面バンド、トラヴェリング・ウィルベリーズ!
- Vol.3は実質2作目となる特別なアルバム!
- ロイ・オービソンとデル・シャノンの不在という背景!
- 4人が分かち合う多彩なリードボーカルの魅力!
- 「She’s My Baby」と「Wilbury Twist」は代表曲!
- ジェフ・リンの手腕が生む高い完成度!
- 映像から伝わるメンバー同士の深い絆!
- リマスター版で音質と評価が大きく向上!
- コレクション盤で全体像を体感可能!

